ホーム(トップに戻る)/home ラジオ「キディ・ガーランド」GTO喫茶室「タッチ&ゴー!」
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2009.11.17
都内某所「キディ・ガーランド」制作会議の現場にて監督の後藤圭二さんに突撃インタビューを敢行!
キディ・グレイド』の続編を作ることになった経緯や、今後の展開などについてうかがってきました!

制作資料が展開される会議室のテーブル


――『キディ・ガーランド』は、2002年より放送されたTVアニメ『キディ・グレイド』の続編という位置づけになっておりますが、続編を作ることになった経緯を教えていただけますか?
 これは僕たちスタッフの方から「続編を作りたい」と考えたというよりは、角川書店さんの方から「『キディ・グレイド』の続編を作れませんか?」というお話をいただいたので「それでは考えてみます」とスタートしたんです。さらに「続編公開前に、前作を新しい形で発表できませんか?」というお話もいただきましたので、TVシリーズを再構成する形で『キディ・グレイド』の劇場版を制作して、2007年に3部作として公開することになったんです。

――2007年には『キディ・グレイド2 パイロット映像(PV)』も公開されましたが、PVと『キディ・ガーランド』の内容のテイストがかなり異なることになった理由はなんでしょう?
 PVは、音楽に乗せてビジュアル優先で作るものということもありますし、タイトルが『キディ・グレイド2』でしたから、『グレイド』の既存のキャラクターや、コミック版、小説版『グレイド』のシーンを入れ込んで、『グレイド』のファンに喜んでもらえるものを目指しました。さらに、その段階で考えていた新キャラクターを映像の中に登場させて「現段階で僕らが考える続編はこんな感じかな」と、続編の具体的な内容をどうするかはあまり決め込まずに作ったんです。そういう意味ではPVは『2』というより『1.5』に近いですね。
 その後、PVを叩き台にしてみんなで意見を出し合い、改めて新作をどのように作るかスタッフで話し合ったんですが、前作のTVシリーズが公開されてから7年ぐらい経っているため、『グレイド』を知らない人にも楽しんでもらえる新作にするということを重視することに決めたんです。
 また「『グレイド』と同じものを作って同じことをやってもしょうがない」ということで、作風を変えることにしました。『グレイド』を作ったときは、自分の初監督作品ということもあったので「こういうことはやめよう」とか「このキャラクターはこんなことはしない」などと、自分の中で線を引いて制限していた部分があったんですが、『ガーランド』ではそういう考えを取り払い、柔らかく考えて作ることにしました。ですので前作を知っている人は「あれ? ずいぶん前作と雰囲気が違うな」と感じるかも知れませんが、「何でもあり」が『ガーランド』だと思って、まずは主人公2人の新キャラクターに注目していただければと思います。

――PVでは、『ガーランド』主人公のアスクールとク・フィーユの原型といえるキャラが登場しますが、実際に『ガーランド』に登場するアスクールとク・フィーユとは印象が違いますね。
 ク・フィーユに関してはそうでもないんですけど、アスクールに関してはかなり変わりました。やはりここ最近は、明るいお話の方が視聴者の方々に受け入れられやすいだろうということもありまして、『ガーランド』も序盤特には明るい話にしたかったため、アスクールは明るいキャラになったんです。「アホの子」と言われるほどでもないと思うんですけどね(笑)。
 それに前作の主人公2人が最初からエージェントとして活躍していたのと対照的に、今作の主人公2人は見習いからスタートしてどうなっていくのかという話を作りたかったということが、現在のアスクールとク・フィーユというキャラクターを形作ることになりました。
 ですがこのキャラクター固めには苦労しましたね。きむらひでふみさんに脚本を書いていただいているんですが、僕や他のスタッフの方々の意見を入れてキャラクターを肉付けして固めていくうちに、物語前半の脚本は15校とか16校とかまで修正を重ねてもらうことになりました。また他のスタッフの方に言葉でキャラクターの説明をしても、人によって違う解釈をされてしまうことがあるんです。マンガや小説などの原作があるのであれば、原作を見てもらうとすぐにキャラクターを理解してもらえるんですけどね。今回に限らず、監督としてはオリジナルのアニメを作るのは非常に大変だと思います。

――アスクールとク・フィーユの、どういった点に魅力を感じてほしいですか?
 やっぱりアスクールは明るいところですね。一方ク・フィーユは真面目で堅い性格ですけど、ガチガチというわけでもなく崩れる時には崩れる、そのギャップみたいなところを楽しんでもらえるのではないでしょうか。
 あと2人とも特殊能力を持っていますけど、前作の主人公よりも普通の人に近い感じで描いていますので、今後物語が進むにつれての2人の成長を見守ってほしいと思います。自分としても、まだ放送が始まったばかりで2人のキャラクターを固めながらアニメを制作している点がありますので、2人には特に思い入れがありますね。親のような心境かもしれません(笑)。

――視聴者の方にとっては、ミ・ヌゥルーズという濃いキャラのインパクトがかなり強かったのではないかと思いますが(笑)。
 どうでしょうね(笑)。他のアニメにもこういうキャラはいますし、そこまで突拍子もないわけでもないとは思っているんですが(笑)。
 とりあえずアスクールたちの上司として、局長のイヴェールという女性がすでにいますから、喫茶室長に普通の女の人を出してもイヴェールとキャラがかぶってしまうと思ったんです。そこでアクセントとして、喫茶室長はオカマみたいなキャラにしようということになりました。あとは白石稔さんが声を担当されると決まったとき、白石さんをモチーフにしてあのキャラクターになったというところもあります(笑)。

――前作を知らない人も楽しめるように作られているとのことですが、前作のファンだった方々には、どういった点を見てほしいですか?
 もちろん『グレイド』と『ガーランド』では話も繋がっていますし、『ガーランド』の第1話で登場した前作主人公の2人がどうなったのかは、ちゃんと今後描いていきます。前作のキャラクターもさらに登場しますし、前作に登場したようなメカも出てきます。また、前作を知っていると「あ、これってもしかしてあれのことかな」と思えるシーンをちょこちょこ入れ込んでいますので、見つけてほしいですね。
 逆に言いますと、前作を知らない人もこの機会に『グレイド』に興味を持って見ていただければ嬉しいですね。『グレイド』はTVシリーズと劇場版がありますが、僕としてはできればTVシリーズを見てほしいです。僕としては、1話も無駄がないようにTVシリーズ全24話を構成したつもりですが、劇場版では、どうしてもその内容の一部を削らざるを得なかったんです。
 ですけど劇場版では新カットも追加しましたし、今度発売されるBlu-ray版では画質や音質も良くなっていますので、ある意味『キディ・グレイド』の完全版と言えると思います。それに劇場版でも『グレイド』の情報は一通り網羅されていますので、「時間的制約などで『グレイド』のTVシリーズを全部見るのは難しい」という方にもお勧めできます。

――最後に、視聴者の方へのメッセージをお願いします。
 とりあえずあまり気構えず、堅くならずにご覧になって下さい。その後「あっ」と驚く展開や「おっ」と思う展開も待っています(笑)。今はまだ言えないことが多いですが、今後をお楽しみに(笑)。

インタビュアー:桝谷 直俊